GAINAXはやはり経営難なのか!?

突如発表された新劇場版エヴァ4部作。総監督は庵野秀明がやるという。他、監督:鶴巻和哉、キャラクターデザイン:貞本義行メカニックデザイン:山下いくと、とオリジナルメンバーから変更はないようだ。今のところキャラやメカのデザインが変更になるとの情報は無い(新作になるのなら変えてほしいが)。エヴァ関連の情報は角川系列が押さえているようで、アニメージュには全く記載無し。
ニュータイプに掲載された大月俊倫プロデューサーのインタビューでは、次のように説明している。
○物語の時間軸は95年のテレビシリーズと同じだが、内容は全く異なり、リメイクでも作り直しでもない“新作”
○初心者歓迎なので内容はやさしくなる
○難解な語句をまき散らす手法はもう古い。前作を観た人が抱くような「エヴァ」に対する予測を全て裏切る
などとアニメファンにとっては懐疑的な発言が飛ぶ。次に、制作に至った理由は、
庵野秀明が、12年という月日が経ち、エヴァを客観視できるようになった
○アニメ業界の現状に対するアンチテーゼとして
月氏のコメント「確かに「エヴァ」は大ヒットしました。でもそのせいで、アニメ界によけいな誤解や混乱が生まれ、粗製濫造を招いてしまった。本作が、もう10年も続いているそんな現状に対する否定、あるいは対立概念という立場にあることは間違いありません。「エヴァ」から始まったひとつの時代に幕を引くというのが、われわれ制作者の心構えでもあるんです」(アンチテーゼのキーワードをチェックすると同じようなことが書かれてます。)
などと、もっともらしく、さも必然であるかのような記事になっている。気になる人はニュータイプ10月号を読んでください。
所詮宣伝目的の記事(まだ完成してないのだから批評も何もないのだが)なので、内部事情の信用は無いに等しい。なのでその裏事情のあたりを考えてみた。
最も重要なのは庵野秀明は本当に心の底から“また”エヴァンゲリオンを作りたかったのか?ということだろう。当然誌面からはわかるはずもない。新エヴァは、しばらく実写がメインだった庵野秀明にとって久々の大きなアニメ仕事である。久々のアニメの大仕事をやるにあたって、庵野秀明の出した企画がエヴァの新作とはとても思えない。ネームバリューのある庵野秀明が新作アニメの監督をすることは決定していたが、庵野秀明自身の企画が会社を納得させられなかったため妥協案としてエヴァのリメイクとなったのではないか。完全オリジナルの劇場映画はリスクが高い。しかも監督が庵野秀明ともなれば、GAINAXの今後を左右する可能性も高い。たとえ興行的には成功しても極端に話題性が高い場合、興行収入が必ずしも作品の評価と一致しない。なので経営的にあまり余裕を感じられない今のGAINAXには、完全オリジナルはリスクが高すぎると判断されたのではないか。エヴァなら漫画は未だに続いており、ゲームも延々出続けている。最近ではパチンコまで出ており、20代後半から30代では知らない人はいない程有名で、さらにテレビアニメを観ていない若年層を取り込めば、ある程度の予測は立つ。
とまあ勝手な想像です。当然ニュータイプには真実だろうと無かろうとそんなことは載りません(笑)。
アニメ業界に対するアンチテーゼと言っているが、この場合、似たような構造を持った作品で異なる結論を導き出すという意味合いでなく、直球、つまり95年のテレビ版エヴァを含む、以降10年間、現在までのアニメを全否定するという意味とも取れるが、それならば新エヴァは「エヴァンゲリオン」足りうるのか?飽和した設定、破綻した物語、非エンターテイメント性、それこそが「エヴァンゲリオン」ではなかったか。それらを省くともはや王道しか残らない。もちろん王道を否定するわけではない。アニメ界における王道とは、まさしくエンターテイメントであり、セオリーがあり、一定の基準を満たせば一定の評価を得ることが出来る。が、それならばエヴァンゲリオンでなければならない理由は微塵も無い。あとに残るのはマーケティングに使い捨てられた残骸だけだ。
もう一つ、エヴァ以降の現在に至るアニメは否定されるべきものか?確かにエヴァの大ヒット以降、作品数は膨大に増え、エヴァに匹敵する大ヒット作は未だ登場していない。作品数が増えたためにアニメファンも金銭的に苦しい状況であり嗜好を細分化せざるを得ない。また、商品価値を決める上で作画クオリティの比重が非常に大きくなっている(基本的にオタク以外の人々にとってアニメなど空気のようなもので、表面的なクオリティなど気にしていない)。これが大ヒット不在の原因なのは確かだ。だが、それにより作品の幅がより広がったのも事実である。粗製濫造と言うが、しっかり作られているものにはちゃんと光が当たる構造になっており、くだらない作品が作られるのは馬鹿な広告主・スポンサーと作りたくもないアニメを作ってる自転車操業のアニメ制作会社、それとアニメは儲かるなどと勘違いして無駄にアニメ枠を確保しているテレビ局が原因だ。そのおかげで出来の良いアニメが一目で判るようにはなっているが(笑)。選択眼の無い一般人にとっては粗製濫造かも知れないが、それ以外の人たちにとっては余計なお世話だ。
個人的にはエヴァンゲリオンはテレビアニメで完結したと思っている。劇場版は蛇足。今度の新作エヴァはきっとエンターテイメントしているんでしょうね。きっと。普通に面白く作るんだと思いますよ。だったらエヴァじゃなくても・・・・・ってまた話が戻りましたな。