アップルのDRM不要論について

全く持ってその通り。DRMなどとっとと廃止されてしかるべきである。どう考えても無意味どころか逆効果にしかなっていない。現に私はiPodを持っているがオンラインミュージックを購入したことはない。理由はいろいろある。
(これを言ったらお終いな気がするが)そもそも私はパッケージ(物理メディア・デザイン)が大好きだ。買うならCDを購入する。なのでオンラインミュージックを利用するには相当の理由が必要になる。だが購入の動機が出来たとしても、それを妨げる要因が存在する。
まず音質の問題。オンラインミュージックはほぼ全て圧縮された状態で販売される。現状では合理的な方法である。だがそれは、確実にCDより音質が劣っていることの証明でもある。その違いを聴き取れるかどうかということは本質的な問題ではなく、イメージの問題であり、払拭は困難だ。
そしてDRMの問題だ。アップルは(現状はどうか知らないが、開始当初は)オンラインミュージック業界ではもっとも“緩い”DRMであることをアピールしている。現にソニーミュージックはアップルへの楽曲提供拒否の理由でDRMが緩すぎる・価格が安すぎる(これは現在は通用しない)と発表していた。
では実際にどのような不都合が発生するのか。
5台までのPCで再生できる。とは、実際上はどうなのか。まず、家で自分ひとりしかPCを使っていない場合なら、PCを買い換えても5台目まで大丈夫だから普通の人なら5年くらいは心配無い。だが、もし家に5台PCがあり、誰かが購入した曲をネットワーク経由で再生した場合、それでもう使い切ってしまう。新たにPCを購入しても聴くことは出来ない。
また、iPod以外のプレーヤーにはオンラインミュージックで購入した楽曲は転送できない。
さらに、ハードディスクが物理的にクラッシュしたら終わりだ。バックアップ必須である。
以上が主なネガティブ要因である。
ヨーロッパの一部の国ではアップルのサービスが違法と認定されてしまったが、主な理由は「iPod以外のプレーヤーには転送できないこと」となっており、その点はソニーマイクロソフトも同じなのだが、アップルが市場シェアトップなので見せしめに叩かれているだけである。
だが、アップルは開始当初からDRMを解除する方法も提供している。
自分で作ったプレイリストを、同じ内容で10枚まで音楽CD形式で記録できる。というものである。これはつまり、オンラインミュージックストアで購入した楽曲を、一度音楽CD形式でCD-RもしくはCD-RWに記録して、再度PCに取り込めばDRMは解除されるということだ。10枚まで、というのはあくまで同じ内容でのことであり、中身を1曲でも変えればまた10枚焼ける。実質的に無制限ということだ。無論、音質は劣化する(違いを聴き取れるかどうかということは別問題)。
ヨーロッパでアップルを非難する人たちはその事実を知っているのなら、非難する理由の中に「そんな手間を掛けないと解除できないなんて、面倒だ!音質も劣化するじゃないか!」と入れてほしいものだが(笑)。
そしてDRMを付けているのはアップルの意志ではなく、あくまでレコード会社の意向であるのにアップルを非難するのはお門違いである。
レコード会社がDRMに固執するのは何故か?
理由としては、「もしDRM無しで販売したら、販売開始の瞬間に違法コピーが世界中に蔓延する」ということだろう。だが、オンラインミュージックは音楽販売市場の内、数%の市場であり、そもそもCDにはDRMなど付いていない。CDを買った人がPCに取り込めば、その瞬間世界に発信可能だ。つまり、たかが数時間の差でしかない。DRMに固執する合理的な理由は存在しない。
DRMを全てのレーベルが撤廃すれば、いままでの囲い込み戦略が無意味になり本格的なサービス競争が開始される。現状のままでは日本の携帯電話市場のように末期的末路を辿ることになるのは目に見えているが・・・・・
DRMさえなくなれば、音楽レーベルを持たないデバイスメーカーでさえ、iPodに負けないプレーヤーを創り出せるはずである。
ここは業界最大手のアップルにがんばってもらうしかない。
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