あさっての方向。第一話 願い石

原作、マッグガーデン刊「あさっての方向。山田J太著のアニメ化。
冒頭での「一夏の物語」というモノローグから解る通り、原作とは相当別物。現在連載中の原作では夏が終わってもまだ完結していないので。連載開始は03年秋号だったので最初のころの話はほとんど憶えていなかったのだが、アニメの第一話を見ての感想は、かなりイマイチ。こんな話だったっけ?と思い、コミックスを読み返すと、全く別物でした。つーか原作めちゃ面白いし。こりゃアニメ化失敗かな?
不満点を上げればきりがないが・・・、この作品の本題は、「今すぐ大人になりたい少女」と「過去に戻りたい女性」の願いが「願い石」の力により同時に叶い、少女は大人に、女性は子どもになってしまう。図らずも願いが叶ってしまったものの、現実と夢とのギャップにより、結局は元に戻る方法を探すことになる。という話だが、原作ではその「願い」が叶うのは第4話(しかも掲載誌は創刊当初季刊誌後に隔月刊のコミックブレイドMASAMUNE)なのでかなり長く丁寧に前振りを描いているのに対し、アニメでは第一話で叶ってしまう。おそらくは伝説のVガンダム的な事情があったのでしょうが、それをするためなのかどうかは知らないが、原作と設定をかなり変更している。
物語を面白く見せるためには、非現実が必要だ。だが、非現実であれば何でも良いということではなく、作品内でそれと対比となる現実・リアルが必要で、そのリアルを丁寧に描けば描く程、非現実とのギャップが面白くなる。アニメ版第一話ではそれが不十分で、感情移入が出来なかった。
あと、三十路前の男・五百川尋の声優、日野聡は残念ながら全く合っていない。制作したJ.C.STAFFもテレビアニメ処女作の少女革命ウテナ以降パッとしないしな・・・。

あさっての方向。山田J太